INTERVIEW

開発者インタビュー

「世界初」電子制御ボタン付け自動機を若手2人が新設計

世界初のボタン付け自動機の衣鉢を継ぐ。

ショップで販売されているアウターウェアのボタンのほとんどがミシンで縫い付けられているのをご存知ですか? アウターウェアにはボタンを掛ける生地の厚みに対応するため『根巻き』が施されています。ボタンの縫い付けと根巻きを一度に行う電子ミシンは世界に先駆けYamatoが開発。国内の縫製工場さんがこぞって導入しました。それから約30年。「世界初」の後継機を若手開発者が協力して取り組みました。高速化とダウンタイム削減の2つの方法で生産性の向上を実現したストーリーをご紹介します。

ソフト開発担当

さらに進んだ電子制御とタッチUIで、
世界中誰でも使える製品を目指す。

従来のミシンは、ボタンの種類やサイズ・付け方が変わるたび、保全の方が機械的な調整をしなければなりませんでした。調整の間、縫製作業は行えません。縫製されるボタンは多様で変更も頻繁なため、調整にかかる非稼働時間は無視できないものでした。
非稼働時間を生む原因を退治するため、新機種では制御の電子化をさらに進めると共にタッチUIを採用。これまで機械的な調整が必要だったものを電子制御化するとともに、直感的に設定の変更が行えるよう改良することで、オペレーター自身が現場で商品に応じた設定ができるようにすることを狙いました。

 当社のお客様は世界中におられます。縫製オペレーターは必ずしも英語ができるとは限りません。ソフト開発の担当者として、世界中のどんな国や地域のオペレーターであっても理解でき、直感的に操作できるUIを構築することには苦心しました。
新機種では保全技術者の方の調整を待つ間の手待ちをなくし、ダウンタイムを削減することでお客様の生産性の向上に貢献できるのではないかと思っています。

メカ開発担当

機械の動作を根本的に見直し、生産性を劇的に向上。

機械設計の担当者として、実際のボタン付け工程にかかる時間を短縮することで、生産性の向上を狙いました。工程にかかる時間を短縮するためには、単に機械の動作スピードを高速化するだけではダメで、無駄な動作を極力減らす必要があります。このため、機械の構造と制御、両方を根本的に見直しました。
ボタン付け自動機の場合、縫い針が落ちる位置が少しでもずれれば縫い針がボタン本体に衝突し、事故の原因となります。縫い針がボタン穴に100発100中で入るようするためには高い精度の制御が必要です。開発にあたって思うようにいかなかったのはこの点でした。

高速化に伴い増加する慣性をいなしつつ、必要な精度を実現するため、従来2軸のみの制御だったところに新たに3軸を追加。合計5軸の制御とすることで、より精密な動作を可能にしました。同時に、パーツの慣性を減らし高速化と高精度化を実現するためメカ部分の軽量化を行いました。構造解析・強度解析の手法を用いて最適な部品構成を検討。しなる素材を用いて剛性を確保しつつ、メカ部分全体の軽量化を実現しました。

オペレーターの方に喜んでいただいたことが一番嬉しかった。

制御面と機械設計面のそれぞれで新しい試みを行った結果、新機種では従来機種と比較して生産性の向上を実現することができました。
自分が良いと考える方法で設計できることは開発者にとって理想的ですが、自分で考えてやりきらなければならないので責任も求められます。
開発をして一番嬉しかったのは開発中のプロトタイプをお客様の工場へ持ち込んだときのことです。新機種の生産性の高さに感動していただけたこともそうですが、それにもまして実際に縫製をしているオペレーターの方が使いやすくなったと喜んでいただいたことが一番嬉しかったです。

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